kenka2
「楽しみにしてるっす」
扉の方へ向かうと、薫の肩を
叩いてユウは「撤収」と小さく
声を出した。
仕方なく帰る薫。
扉が閉まるのを確認すると、
波留は1年達を見て言った。
「おっかない人達ですわね。
何もされませんでしたか?」
「俺達は何も…ただ、繭先輩と
憂先輩が…」
「…てっぺんをとる為に来たの
なら、仕方ありませんわ。相当の
実力者という事ですね」
はあ、と一年達は相槌をうつ。
波留はそっと、微笑んだ。
「なんであそこで退いたんだ!?
そのままアイツを潰しておけば
手間が省けただろうが」
「順番ってのがあるんです」
「そんなの守ってる方が変だ」
ドッ
ユウが壁を思い切り叩く。
薫は黙ってその様子を見る。
「ここのルールは、3代目の
てっぺん…直が決めたもの。どんな
事があっても彼女の掟を破っちゃ
いけないんすよ」
「…」
ユウの悲しげな表情から、何かを
読み取った薫はすぐにユウの手を握った。