kenka2

「私には良く分からないが、ごめん」
「…山田…」
ごめんという言葉を聞いて、
様子が変わるユウ。
ソレに薫も気づいたようだ。

「悪いことしたか?」
薫は手を離すとユウの顔を覗き込んだ。
ユウは顔色を元に戻し、薫の肩を
つかんで視線を横切った。
「平気だ」
先に行ってしまうユウを見ながら、
薫は傍観していた。

裏庭に出ると、何人かのヤンキーが
勢力争いをしていた。
黙って座り込んでそれを見る薫。

ー低レベルの喧嘩だ。
こんな雑魚同士で争いをして、
何か楽しいのだろうか。
上には上がいる。強い奴を
倒さないと、私は気がすまない。

だから強くなった。

「もう二度と…仲間を裏切らない。
アイツは…大切にしてやらないと」
薫の脳裏にユウが浮かんだ。

その頃のユウ。
多目的室の机の上に座り、音楽を
聞いて不機嫌な顔をしていた。

「くだらない。仲間なんて、
必要あるわけないだろ」
苦い顔をしながら爪を噛む。
相当トラウマがあるようだった。
イヤホンを外し、傍にあった
椅子を蹴る。

「胸くそ悪…。上に行くための
手駒にすぎない。その為なら利用
してやる。…一人の方が楽だ」

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