kenka2
「下までおりろ。潰してやる」
「何のこと~?」
「忘れたとは言わせない。てめぇを
潰す事だけを考えてあたしは一年
過ごしたんだ…」
「復習って奴か。フフ」
ナジカの長かった髪は肩ほどまでに
なり、沢山の傷が体にあった。
手を思い切り握る憂。
ナジカは不気味に笑っている。
「やめろ」
声が聞こえた。
振り返る憂。ナジカを握っていた
手が誰かの手に被さっていた。
「…あ…」
波瑠だった。
「落ち着いて」
波瑠はそう言うと、優しく手を離す。
それに安心したのか、ナジカから目を
放して放心状態になる憂。
波瑠はそっとナジカを見た。
「来るなんて思いませんでしたわ」
「約束は守りますよ。フフっ」
「あなた、覚えていますか?私が出した条件を」
「呉羽のために戦えば良いんでしょ~?」
「!?」
それを聞いた憂が、驚いた表情で
波瑠を見る。何か決心したような顔を
している波瑠。
「私は、あなたを認めたつもりはありません。
ですが今は緊急事態です。戦力は多いにこした
事はありませんし」
「本気で言ってるのか・・・?波瑠」
「…憂」
儚くて、さびしい目をして波瑠を見る憂の瞳。
死に際の直が浮かび、涙が零れてくる。
「大丈夫です。この人はもう改心しましたわ。
だから呼んだんです…あなたなら分かるでしょう。
呉羽が今、いかに大変な事態か…」
「改心したって…直先輩がコイツに殺された
事実は変わらねぇだろうが!」
「一度の過ちで、人は分からないですよ」
波瑠と憂の会話に口を挟むナジカ。