kenka2
3年1組。
今日は一年は来ない日だった。
窓から外を見る波瑠。歩いて呉羽に
入ってくる薫とユウが見える、
椅子には憂が一人で座っていた。
「…何も知らなかった」
暗いトーンで言う憂に、波瑠は振り向く。
「そう思っても仕方ありませんよ」
「でも、あたしは…何も知らなかった。
呉羽の今の状況も、宮崎が何をしてる
のかも…、全部…」
「次に直先輩が帰ってくるのはいつだ?」
「直先輩じゃなくて利津です。…気が向いたら、
今日にでも帰ってくると思いますわ」
「あたしは…何も出来ないのか」
「代理は私ですから…」
重たく悲しい空気が教室に流れていた。
ガラガラ
扉が開いた。
敏感に反応して扉を見る憂。
中から現れたのは、奈央だった。
「波瑠、ちょっと来てくれ」