kenka2
「ぅ…うぉおお!!」
3人が走って波瑠を殴ろうとすると、
波瑠は避けてあっという間に3人を殴った。
波瑠のまわりには鵺高の生徒が何人も
倒れている。凄い光景だった。

「…先ほど憂には話したんですが、
繭にも話すべきですよね」
「ああ」
倒れている人たちには何の感情もなしに、
波瑠は奈央に話しかける。

「しっかり聞いていてください」
繭と目線を合わせると、下を向く波瑠。
不思議そうに波瑠を見る繭。

「今まで呉羽は、そのヤンキー校にも
制圧されませんでしたわ。それは勿論、
直が呉羽に居て、交渉していたからです。
こちらも手を出さないという条件で」
「…知ってる。あたしも直先輩の部下だったんやから」
「失礼。話はそれからですわ。直が死んで、
その交渉は全部無くなってしまいました。直が
居なくなったことによって、呉羽に怖いものはない
と思ったのでしょう。今まで条約を結んでいた
いくつもの高校が、呉羽に攻めてくるようになった」
「!!」

ー今まで交渉していた学校は、あたしが
知ってる限りでも7校はある…。

「…全く気づかなかった…」
「そりゃそうだ」
奈央が口を挟んだ。
その瞳で波瑠を見つめる。
2人は目で会話しているようにも見える。

「そのために、頭が動いてるからな」
「…!!」
だから頭は、あまり学校に来ないのか…
何であたし達に何も言わずに、1人で…。

「…宮崎もその手伝いをしてるってことやな」
「数が多すぎるときだけは…」
「え?」
「あたしが主に行っていることは、それじゃない。
他校の問題は全部頭に任せている」
「じゃあ、何で学校に来ないんや?」
「…」
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