kenka2
「何を考えている」
校長は久しぶりに笑った。
ユウも安心し、睨み合いをやめた。

「最近、学校に来てないみたいなんすよ。
この学校の頭ともあろう者が」
「真鍋利津か?」
「そうっす。良いんすか?頭が不在なんて
知られたら面目、丸つぶれっすよ?」
「本人から事情を聞いて、承諾している」
「事情?」
ユウが敏感に反応した。

「どんな事情っすか」
とある公園。
雨が降っていた。

「…自分の罪、か」
奈央が暗い顔をして、立ち尽くしている。
その背後には、鉄棒に座る利津の姿。
先ほど負かした不良がまわりには倒れていた。

「弱気になるな」
「でも…直さんでも倒せなかった人を、
あたしが負かすなんて…」
「簡単な話だろ。直には無くて、お前には
あるものをあいつは感じ取ったんじゃねーの?」
「直さんには無いもの…?」
「答えは自分で探せ。じゃなきゃ意味がねぇ」

利津は手で雨を受け止めて、
自分の罪を洗い流すかのように
空を見上げていた。

「…あなたは、何で」
奈央が利津に問いかける。
今まで思っていた疑問を言おうと
していた。利津は反応して、
奈央の方を向いた。
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