kenka2
「何であなたは、そんなに直さんの
ことを知っているんですか?それに、
あなたの容姿は…直さんに似すぎてる。
ただの偶然とは思えません…!」
「違うだろ、性格が思いっきり」
「誤魔化さないでください」

余裕そうに話した利津が、驚いた
顔をして奈央を見た。

「…あなたはいつも、寂しくて、冷たくて、
何かを背負ってる目をしてる。何でですか…」
「全部当たってやがる」
皮肉そうにふっと利津は微笑むと、
奈央に近付いて彼女を正面から見る。

見れば見るほど、直にソックリだ。
懐かしくて、会いたいという気持ちが
また溢れて来てしまう。
「…直さん」
思わず声になっていた。
それを聞いても、利津は黙っていた。
そして話し出した。

「呉羽の連中にとって直に似てるあたしが
いるのは…嬉しいし、辛いことだ。そんなの
始めから…分かってるさ」
下を向き、また悲しそうな顔をする利津。

「それでもあたしは、直のやり残した
ことを貫き通したいんだよ」
「…直さんのやり残したこと…?」
「頭として、呉羽を引っ張ることだ。
あいつ、次の次世代を決める前に逝っち
まったからなあ」

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