kenka2

切ない気持ちになる奈央。

「まあ良いだろ。波瑠しか知らない
あたしの秘密ー…お前に教えてやる」
直と同じように、利津は微笑んだ。

「あたしは、利津の双子の姉だ」
「…ー!!」
頭が真っ白になる奈央。
ー直さんと同じ血を持つ、家族…
過去の記憶を思い出す奈央。

直が今にも意識が無くなりかけている
とき、家族が泣いて傍に居た。
後姿しか見てなかったけど、確かに
似ている人物が居た。
双子の姉…

「直は昔から馬鹿で、頭が悪くてな。
家族はいつも頭の良かったあたしを
褒めて、何でそんな馬鹿なんだと直に
いつも怒ってた。もちろん直は母親も
父親も大嫌いだった。だから、家にいる
時はあたしといる時間だけが、唯一の
救いだったんだと思う」

利津もまた、過去の記憶を蘇らせる。



『もう家に帰りたくない』
まだ中学2年生のときだった。
直が珍しく、親のことを愚痴ったのだ。
驚いた顔をして直の頭をなでる利津。

『いつか、お前のことも認めてくれる
日が来るよ。大好きだから、愛してるから
母さんも父さんも怒ってくれてるんだ』
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