kenka2
そのころ利津は、頭の良い高校に
通っていた。家に帰ると、不思議な
気分になっていた。

エリートと不良が家に居るのだから。

『もうあなたの世話をする気はないわ。直』
突然のように言われ、驚く直。
隣で聞いていた利津も目をカッと開く。

『ヤンキー校の総長?くだらない。
暴力でしか解決出来ないなんて何と醜い…
始めは何をするのかと思ってたけど、
予想通りだわ。この家に不良はいらないわ』
『お母さん…』

ポタポタ。

直の目からは、涙が零れ落ちる。

『認めてほしくて…がんばったのに。
何で利津だけ…!!』
直は自分の部屋で、泣き叫んでいた。
それを見守りながら、利津も自分の頭の
良さを憎み、泣いていた。


それから2年の月日が流れ、親は
まだ直と喧嘩状態だった。
家に帰っても、おかえりを言わない始末。
ただ利津だけには満面の笑みで接していた。

『利津だけが、あたしの救いだよ』
そんなことを言われた日もあった。
2人は前よりも確実に仲の良さが増していた。

容姿はとても似ている少女。
だけど、とても大きな違いがあった。
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