kenka2


そして、そんな日々が過ぎていくうちに
運命の日は訪れた。

『…え?』
受話器を落とした母親を見て、
利津はどうしたの?と声をかけた。
それでも応答せず、しゃがみ込む母親。
父親も異変に気付き、声をかけた。

『どうしたんだ!?』
『…嘘よ…』
父親が代わりに電話に出ると、
信じられない言葉が返って来た。
『今すぐ病院まで来てください。
一刻を争う状態です…!』

近い病院だったため、4分ほどでついた。
ー嘘であってほしい…
そんな思いを堪えながら病室に入る。

そこには、苦しさを乗り越えて、
白い顔をした直がいた。
かろうじて息をしている状態だった。

『直…!』
両親は涙ながらに直の手を握る。
利津はそんな家族を見て、怒りが
込み上げてきた。

『…散々冷たくしておいて、今さら
何なんだよ!お前らに何が分かるんだよ!
こんな時だけ泣いて、許されると思って
んのか!!!』
思ったことを全て吐き出した。
両親は、涙を啜りながら言った。
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