kenka2

奈央は力なく立ち上がった。

「…」
無言で波瑠を壁に寄りかからせると、
激しい怒りをあらわにした。
「4回目のチャレンジだな。
かかってこいよ、宮崎」
奈央が寧々を睨んだ。

「こいつら、まだ…っ」
薫達は、体勢を変えられず
ただどうすれば良いのか焦っていた。
利津も立ち上がることが出来ない。

「頭とやらを守ってろ、薫」
「!ユウ」
「大丈夫だから、下がれ」
「…信じるぜ」
利津を抱えて隅へと行く薫。
ユウはガムを吐き出した。

ユウは仲間意識など無かった。
単に薫と自分の考えが違うことに
苛立ち、喧嘩をする気分になったのだ。
中々上手くいかない。まあ、自分が
皆を裏切れば全ては丸くなる。

「ふふ…」
無邪気な笑顔を見せるユウ。
「うぉぉぉぉおっ」
襲い掛かってくる生徒達。
はらはらして見守る薫。

3人、4人。
次々と殴られ倒れていく。
手加減をする気など無かった。

ドガッ
激しい乱闘の中、腹を殴られ
動きをとめる。その瞬間、1人の
生徒がユウを腕で押さえ込んだ。

「はなせ!!」
力強くひじをぶつけるユウ。
痛そうにしても腕を解かない。
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