kenka2
第6章 発覚

「…なるほど」
波瑠だけが分かったように頷く。
ユウと薫は荒々しく呼吸をしながら、
奈央の方を見ている。

「てめぇ…」
利津は怒りを秘めた瞳でナジカを見る。
オドオドしながらも話すナジカ。

「いやーすいませんね。呉羽のために
働くって条件だったんですけど、やっぱ
無理です。こっちの方が面白そうですもの」
得意げに笑ってみせるナジカ。
利津は何とか感情を抑えていた。

「あんたは何をする気ですか」
波瑠が口を挟む。

「呉羽の連中、嫌いなんだよ。
ごたごたに潰してやる。覚悟しろ」
「何で…」
はっと薫は奈央を見た。
目を開いたままナジカを見ている。
そして、その方向へ歩き出した。

首をかしげる奈央。
ナジカの目の前に立ち、彼女を
無表情のまま見つめる。

「宮崎…」
その表情は、言葉に出来ないほど
怒り、悲しみ、苦しみ、憎悪、憎しみ
…全てが詰まっている。
「あんたが全部壊したんだ…」
奈央は黙ってナジカの胸倉を掴む。
そして首を絞めようとした。

「やめろ」
利津の声が響いた。

「そんな事しても直は喜ばねぇよ」
「…」
表情は変えずに、手だけを離す。
その作業は強引で、苛立ちを隠せない
みたいだった。
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