kenka2


「待ってろ、宮崎」
寧々は微笑んで言う。
ナジカと肩を組むと、逃げるようにして
2人は走っていった。
部下だけは、まだ倒れ込んでいた。

「…っくそ…」
奈央は拳を地面につけたまま、
しゃがみ込んだ。奈央の背中を
さする波瑠。利津も悔しげに下を
見ていた。

ただユウだけがその場面を見て、
笑顔になった。






次の日。

「面白い展開になってきた」
ユウが教室で薫に言う。
薫は昨日の事を考えていた。
そこで時にそんな事を言われたら
疑問を持つに決まっている。

「何を言ってる?」
「そのまんま。深い意味なんてないっす」
「沢山の人が傷付いたんだぞ…っ」
「ユウ達は怪我だけっす」
「…お前」
薫はユウを決別した目で見た。
ユウは怖がりもしない目で見つめ返す。
薫の肩を叩いて後ろにまわる。

「頭を使え。他校が呉羽を攻めて、
その喧嘩で賢い戦い方をすれば…最強軍団
全員がつぶれて、一気にKOできるっす。
一番上に行くにはそれしか無い」
得意げな顔で笑ってみせるユウ。
薫の反応をチラッと横目で見ると、
彼女はユウの方を見て言った。

「お前は間違ってる」
「ふ。何故だ?」
「確かに一番上に行くのは私の望み。
けど、それはライバルって範囲だけだ。
呉羽を…仲間を傷つけてまで、
あがる必要があるのか…?」
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