kenka2
ユウは薫を見て微笑む。
薫は彼女が何を考えているのか
分からない様子だった。
「アンタは何がしたいんすか?」
「…!」
「アンタが上に行きたいって言うから、
ユウは手伝ってあげてるんすよ。せっかく
面白い展開になると思ったのに…
3年ぶりに、最強軍団を倒す奴が現れると
思ったのに。とんだハズレっすね」
「ユウ」
「何も言わなくて良いっす。
今日からユウ達は敵。関わんないで
クダサイね」
ユウが薫から目を離し、扉から
教室を出ようとした瞬間。
ユウの手を薫が掴んだ。
と同時に薫がユウを抱き締める。
驚いた様子で腕を見るユウ。
「ごめん。謝るから」
薫の表情こそ見えないが、反省
した声で元気がなさげだった。
ユウは薫を強引に突き放した。
そして調子が狂ったように目が泳ぐ。
薫は心配そうな目でユウを見る。
「一回崩れたピースは、繋ぎ止めるまで
時間がかかるんすよ」
「なら時間をかけて積み直せば良いだろ。
ごめん…ユウ。自分勝手だった。お前は私の
大事な友達だ。どこには行かないでくれ」
「はぁ。」
ユウはため息をついた。
「…ユウ?」
不安げに問う薫。