kenka2

ぐっと薫の首を掴み、引き寄せる。
薫は驚いたような表情でユウを見る。
ユウはすっと口を開いた。

「ダチ?調子にのるな。ユウはお前を
利用してるだけだ。何も思わない。ユウは
お前が大嫌いだ」
パッと手を離すと、薫は呆然とした
顔で地面にひれ伏せる。

「さよなら」
汚れたモノを見るようにして、
ユウは教室を出て行った。
ユウは呉羽を出て行くと、
途中で岸沼の生徒とナジカを見つける。
そして怪しげに笑うと、寧々の元に
向かって歩き出した。



「…な、何でこんなに暗いんだ?」
3年1組では、久しぶりに全員が揃い
話していた。…実際は会議体形なだけで、
誰も喋ろうとしていなかった。

特に利津と奈央の空気が重く、波瑠も
その2人に合わせるかのようにボーッと
突っ立っていた。

「活気出さなあかん。何かあったのは
分かるけど、会議しなきゃ呉羽が大変な
事になるで?…ですよね、頭」
「ああ」
呆然としたまま、利津は返事をする。
何て曖昧な返事。繭の言ってることなど、
誰も聞いていないのだろう、と本人は確信。
憂と2人で黙っている事にした。
< 74 / 113 >

この作品をシェア

pagetop