kenka2
「重い空だな…」
教室の窓から空を見て薫は言う。
雨が降り始めた。
帰り道。駅に行こうと波瑠が
呉羽を出ると、ユウが立っていた。
何か悪巧みをしてそうな顔だったので、
波瑠は目を合わせたあと素通りしようと
したが、それは失敗に終わった。
「今日は遅いんすね、帰るの」
「学校に半日いなかった分、勉強が
大変でしたから」
「良く言いますね。あんなヤンキー校で」
「そうかもしれませんわね」
波瑠にとってもユウは信用出来なかった。
その瞳を見て、偽りの姿を持っている気が
したからだ。薫はそういう目をしていなかった
ので、特に疑いは無く接していた。
「で、何の用ですかね?急いでるんですが」
「来なかったら呉羽に攻める、なんてどうすかね」
「あら…。一大事ですわね」
ユウが自分達を裏切ることくらい想定していた。
これから連れて行かれる場所も大体分かる。
誘いに応じるつもりなど無い。
芽は早めに摘む。そう波瑠は考えていた。
ー宮崎と同じくらいの腕は持っている。
あとは折れない精神があれば、平気だろう。
私が呉羽の争いを終わらせなければ。
「…始めて来ましたわ」
連れて来られたのは、岸沼校の
とある部屋だった。綺麗で神秘的な
空気が漂うことに、波瑠は疑問を感じた。
ナジカと寧々が大きいソファーに座り、
囲むようにして部下が波瑠を睨む。
余裕そうに笑顔で歩いていると、
ユウが話し出した。