kenka2
「…?」




ファサッ。

花が舞って奈央の肩に舞い落ちた。
それを拾って、下に置く奈央。
直のお墓に来ていた。

1年前のあの日から、
何か不安な事や悩み事があると、
頻繁に直のお墓に来ている。
そして心で相談し、助言を貰う。
勿論ここに直は居ない。
直ならどうするか?それを考え、
いつも墓を去っていく。

「…」
直の字が刻まれた石を見て、
ぼーっとする奈央。ゆっくり花に
手を伸ばし、触る。

「…勝てないですよ」
悔しいような、悲しい表情を
奈央はしていた。

「あの人は遠すぎます。直さんでも
勝てなかったなんて、尚更無理です…
…諦めちゃ駄目だって、言いますよね。
でも…自信が無いんです…」
花から手を離す。目を閉じる奈央。

ーゆっくり目をあけると、
風が吹いた。その風を感じ取り、
苦い顔をする奈央。
「強くなれってことですね」
決心を決めたように、立ち上がる。
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