kenka2
薫の実力は本物で、あっけなく
不良たちが倒れていく。
「はあっ…」
残り15人ほどになると、薫は
息を切らしながら、不良を睨む。
肩を震わせ、怯える不良。
「まだやる気か!」
薫は強く問いかけた。
しかし不良達は笑い始めた。
不振に思う薫。
「何がおかしい?」
「後ろ、見てみろよ」
ドンッ
後ろから押され、倒れこむ薫。
ふと後ろを見る。
「-…!」
信じられない光景だった。
ユウが立っている。
「ユウ…?」
妖しい笑顔でユウがわらった。
薫の思考が凍り、鳥肌が立った。
ユウは薫に手を差し出した。
「大丈夫~?」
アハハハ、とまだ残っていた
不良が笑う。絶望感に襲われた。
この者は、私を騙していたんだと
体が言っている。信じたくない。
目を背けたい。違う。違う…
薫が立ち上がり、ユウを殴ろうと
した。手前で止める。ユウは先ほど
とは違う冷徹な顔をして言った。
「ユウを傷付けるの?」
「…!」
「友達なのに…薫だけなのに」
「ユウ…」
ドガッ
「うあっ!」
後ろから引っ張られ不良に殴られる薫。
ズッと地面に吸い込まれるように倒れると、
不良が集まって薫の頭を地面にぶつける。
周囲は笑っていた。
ポッケに手を突っ込み、片足重心で
喧嘩を見ながら笑うユウ。手を叩いて、
面白そうにはしゃぐ。