kenka2
「最強軍団さえいなきゃ、大人数で
個人個人を潰せば良い…。そいつらが
固まって戦うのは危険だからそうさせた。
…つまり、お前は厄介者の一人なんだよ!」
ユウの言葉が心に深く突き刺さる。
自然に目からは涙が出ていた。
適度に殴ると薫はもう戦えなくなっていた。
「しめろよ」
不良がユウに言う。
「んふ♪」
ユウが満面の笑みで歩こうとした。
その瞬間だった。
「薫!!」
憂が息を切らして立っていた。
薫はわずかに目を開いて、憂を
確認すると、静かに目を閉じた。
「逃げろ…!」と言って。
「てめぇ、ユウ…お前まさか」
「邪魔者がきたっすね。ペッ!」
ユウは思い切りガムを吐き出した。
憂がユウに殴りかかろうとすると、周りに
いた不良がユウを取り囲んだ。
「!」
「一応、うちらの部隊のリーダーなんでね」
「…てめぇら…!!」
「う…ぃ」
「薫…!!」
小さい声で薫が憂に話しかけた。
どうせ動けないだろう、と黙って聞く
ユウ達。薫は息を吸った。
「見逃してやってくれ…」
!
「何を言ってる…?」
薫の言葉に、憂は勿論ユウも驚く。
不良は何も考えていないようだった。
黙って言葉に耳を傾ける憂。
「こいつは…悪気があった訳じゃねぇ。
全部私のせいなんだ…裏切るような事を
したから…人を信じれないだけなんだ」
「…!」
「私は、信じてる。こいつはいつか、
呉羽に帰って来るって事を…」
「その為に自分がやられても、かまわない
って言うのか!?」
憂が焦りながら言う。
薫は落ち着きながら言った。
「そうだ」