kenka2

数が減っていっても、
憂の胸騒ぎは収まらない。
全員を殴り終わると、息を切らして
地面にゆっくり座り込んだ。

「うああああ!」
心の叫びが声に表れた。





呉羽では、とある人物が
3年1組の窓に座っていた。
その女性は、髪をかきあげる。
―利津だった。

「よっ…と」
窓から下りて、教室から出ようと
扉の近くに行く。かきあげた髪から
手をはなし寂しげな顔をした。

扉を開ける。
その先には奈央がいた。

「…どこ行くんですか」
「トイレだよ。あ、昼飯も買いに行くからここの留守…」
「利津さん!」
ギュッ

奈央が利津を抱き締めた。

「あなたは一人じゃない」
奈央は利津を救いたかった。
いつも孤独感を出している利津を
放っておけなかった。
「……お前」
「決着つけるつもりでしょう」
「悪い、寧々が邪魔なんだ」
「ナジカとですよね?」
利津が固まった。

「寧々を倒すことを、あなたがする筈ありません。だって直さんがそれを託したのはあたしだから…それに、ナジカには借りがあるでしょう?」
「…だったら何だよ!」
利津は奈央をなぎ払った。

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