kenka2
次の日。
風が舞う中、薫は屋上にいた。
ガラッと後ろの扉が開く。
ユウが入ってきた。
こちらを見ると、薫は目を
合わせて構えた。
「聞かせてくれ、薫」
戦闘心を持つ薫を落ち着かせた
のは、ユウの言葉だった。
少し焦っているようにも見えた。
ガッ
「怖いのか?」
「…っ」
今までとは違う薫がそこにいた。
ただ無残にユウを見つめる。
ユウは力無く座り込んだ。
ー何で私はこんなにも、恐れて
いるんだ。こんな場、今まで
何度も潜り抜けて来たじゃないか。
こいつを潰せば良いんだよ。
力で全員を黙らせれば良いだけだ。
…仲間じゃないんだ。それは私が
一番、分かっている筈。
「うおおぉぉっ!」
ユウは立ち上がると同時に、
薫を殴った。薫はユウの裾を掴み
ユウを蹴ったが、それをおさえ
ユウはまた薫を殴った。
ヘタッと体勢を崩した薫に、
容赦なくユウの一撃が入る。
二発、三発…薫は反撃の様子を
見せない。
ふと拳が痛み、ユウは殴るのを
やめて自分の拳を握った。
「-!!」
薫は悲しい目でユウを見ていた。