kenka2
「これが…ユウの罪」
ユウがそう言ったのを薫は逃さず
聞いていた。そのままユウを手を掴み
ユウを思い切り殴った。

ザッ

ユウは倒れこんだ。
涙ながらに立ち上がった。
ー戦わなきゃいけない。わたしを
好きなひとなんて誰も居ない。
裏切り続けなくちゃ駄目なんだ。
わたしのことを愛してくれる人を
見つけるために、永遠に…

ふとユウが目を開けると、薫が
ユウの胸倉を掴み、いつでも殴れる
体勢になっていた。

息を吸う薫。呼吸が荒い。

「はぁっ…はぁ…」
つうっとユウの涙が地面に落ちた。

ーこいつも、ハズレか…
ユウは目を閉じた。

パッ

薫は手を下ろした。
目を開けると、薫の目からも
涙が溢れていた。

「私は、ずっとお前のことを
大切な…大切なダチだと思ってた。
私は喧嘩の腕のせいで…今まで、
誰にも友達なんて言われたことが
無かったんだ…だから、お前が私を
仲間だと言ってくれたとき…
お前を大切なひとだと認識したんだ」

それだけで…ユウのことを…

「どこにも行かないでくれ…」

薫の本心だった。
ユウは薫の手を握った。
薫はユウを見る。

「ユウはどうすればいい?…」
その目は、薫を真っ直ぐに見ていた。
涙がまたあふれ、こぼれた。
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