kenka2
体育館では奈央と寧々が戦っていた。
お互い頬に傷ができていた。
寧々の方を深く息を吸っている。
「何でそこまで変わった?」
「これがあたしの本気だ。直さんの
望みを聞かなきゃ、申し訳ないからな」
「直か。お前を本気にさせるものは」
「あの人には沢山もらったんだ。何も
返してあげられなかったけど…」
「羨ましいな」
寧々はゴッと奈央を殴ろうとしたが、
奈央はそれをよけて寧々を殴りつけた。
「何がだ?」
「そこまで慕われる総長なんて、
中々いないぜ?」
「…無敵だからな、直さんは」
ドッ
両者のパンチが炸裂した。
お互い地面に座り込む。
もう限界、というところだった。
息を吸い、吐き、立ち上がる。
「次で終わりにしよう」
奈央がそういうと寧々も
「そうだな」と言った。
「うぉおおぉおっ!!」
ドッ
2人のパンチは互いにヒットし、
互いに下へ崩れ落ちた。
「…っ!!」
寧々は苦しそうに立ち上がると、
奈央を見ながら息を吸う。
『お前、つぇーの?』
初めて直に会ったのは、公園で
呉羽のヤンキーを返り討ちにした
時だった。当時荒れていた寧々は、
下っ端を作ることなど考えず
ただ上を目指していた。
『何だてめぇ?』
『そいつの頭だよ。あーあ、敵の
力量考えずに突っ込みやがって~
相変わらず憂は馬鹿だな』
直はゆっくりと憂を持ち上げて、
連れて帰ろうとした。