kenka2
戦い終わると、すぐに直は
寧々に戦いを申し込んだ。
『うちらもはじめようぜ』
直は立ち上がる。するとぐらついて
また地面に座り込んでしまった。
『どうした?』
『何でもねぇよ』
明らかに辛そうな顔をしている直。
変に思った寧々が近付いておでこを
触ると、とても熱かった。
『熱か!?』
『気を使うな、はじめようぜ』
『そんな訳あるか!不健康なお前に
勝っても嬉しくねぇよ』
『決闘なんだよ!』
直は寧々の首筋をつかみ、
自分へと引き寄せて言った。
『この先、どんな状況でも勝たなきゃ
いけない戦いがあるだろうが。遠慮して
んじゃねぇ。お前も頭なら分かるだろ』
『…っ』
こいつ、なんて真っ直ぐな目を
してるんだ…
本当の頭ってのは、こいつみたいな
奴のことを言うんだろうか。
『わかった』
寧々は重たい拳を握った。
そして、決闘が始まったのだ。
熱が出ている直が勝てる筈もない。
それでも互角、という所まで
直は戦い抜いた。
寧々はそれ以降、下っ端を作り、
直のような人物になるよう努力した。
そんな中、直が死んだという噂を聞いた。
しかも理由はなんて無残なもの。
直を大切な友達だと思っていた寧々は、
大きいショックをうけた。
同時に休戦条約は解除されたが、
寧々は呉羽に手を出す気は無かった。
彼女の残したものを潰したくなかった。
ある日寧々は呉羽を見に行った。
奈央の噂を聞いたからだ。
彼女の居なくなった呉羽を見たかった。
彼女みたいな人材が上にいた
学校なら、彼女が居なくなった
あとも優秀な者が居るだろう。
直は未来を託した筈だ。
きっと、凄い奴に違いない。