今カノの私と元カノの存在
「似合ってるね」
だけど、私にそれを言い出す勇気はなくて。
手を握りしめながら顔だけ笑顔を貼りつける。
そうかなぁと少し嬉しそうな顔をするシュウさん。
――――吐き気がする……
好きだからこそ、これから自分が裏切られると分かってるから。
「じゃあ行こうか。駅までだけど」
「うん」
鞄とお弁当の入った紙袋を持って部屋を出る。
振り返った私は、もう一度見渡した。
これが最後かもしれない。
もうここを訪れる事はないかもしれない。
「ケイ?」
「ん?」
「どうした?」
「忘れ物がないかと思って」