今カノの私と元カノの存在
体だけだから。
だから元カノの友達であるアヤ先輩には……
「言えなかった……」
「ケイ?どうした?」
「あっ、ううん」
扉を開け、廊下で待つシュウさんに首を振って外に出る。
呟いた言葉は聞こえてなかったみたいで少しホッとする。
考えないと。
頭を整理しないと。
差し出された手。
いつもなら迷わず握る大きな手。
最後かも。
一瞬ためらったけど、勇気を振りしぼって握り返す。
暖かくて大きな手。
ギュッと握られると嬉しかった。
ホントに嬉しかったんだ。
だけど、今はただ苦しいだけで。
振り払う勇気もなく、カチャンと鍵の閉まる音が遠くで聞こえたような気がした。