たった一人の君へ〜二人の運命〜
「うわっ出た…あっ!えっと、加奈?」


電話の向こうの彼は焦っていた

たぶんあたしが出ると思っていなかったんだろう





「どうしたの?」

何の用事?




「加奈、今家にいる?」



えっ…



「家に決まってんじゃん」


「本当に家?」



なにか疑ってる?

辺りをキョロキョロ見た

京介に見られているのかと思ったから

でも誰もいない





「家だってば」

変に鋭いよな、京介って




「じゃあ何で公園にいるの?」



嘘…



「あんたどっから見てるの?ここにいるの?」



見渡す限り人影は見えない

誰かにここに来ることを告げてもいない


あっ…





もしかしてハメられた?



「やっぱり、公園にいるんだね」



しまった…
自滅してしまった





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