たった一人の君へ〜二人の運命〜
しばらくするとゴソゴソと京介が動いた




「はい、どうぞ」

彼はポケットから何かを取り出しあたしにくれた




おにぎり?
コンビニのおにぎりが一つ、あたしの手に乗っている
大好きな明太子おにぎりだった





「お腹減ってるんじゃないかと思ってさ」




ハハっ
こんな気遣いが京介らしい



「ありがと…」



らしくないけど、お礼を言って有り難く頂いた




「おいしい」


京介の優しさを貰っているような気分




そんな優しいおにぎりを、一口一口食べているうちに、いろんな気持ちがこみあげてきた







何で両親はこんな風にあたしに優しくしてくれなくなったんだろう


那奈ばかり可愛いがっても
自己破産を聞いても
借金取りが来ても
愛人がいても


いつも一人で我慢してきたよ…






そりゃ可愛いい子では決してなかったけど
でも必死で耐えてきたよ




なのに
産まなきゃよかった

そんな風に言われたのは何故?








その時、目から何かが溢れてきた



えっ…
何で?



あたし泣いてる






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