たった一人の君へ〜二人の運命〜
学校で会っても京介は何も言ってくれなかった
廊下ですれ違っても、目を反らしたまま
挨拶さえしなかった






自分から話しかければよかったのに、できなくて、辛いまんま時間が過ぎていった





「はぁ」

教室の机に頬杖つき、ため息つく
最近ため息ばっかりだ





「あれぇ?加奈どうしたの?最近また怖い顔してるよ」

美幸が寄ってきた
今日もテンションが高い





「あんたと慎二くんさ、喧嘩よくしてるじゃん?どっちから謝るの?」





美幸と慎二くんの話なんか聞いてどうすんのってね




「何?急に
加奈、京介くんと喧嘩でもしたの?」

心配そうにあたしの顔を覗きこむ美幸





「別に…」





「嘘。京介くんと最近ちっとも会話してないじゃん

それに、加奈すっごいよく笑うようになったのに、最近また怖いもん」






よく笑う?
あたしが?
気付かなかったな…





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