たった一人の君へ〜二人の運命〜
二人はもうほとんど人がいない外来の待合椅子に座った



何だろう…
緊張する





「あのね、」


お兄さんがそう言い出した時だった





「壮介!」


女の人の呼ぶ声

入口のほうから40代くらいの女の人が小走りにこちらに来た






もしかして…
京介のお母さん?






「母さん」



お兄さんは女の人をそう呼んだ





やっぱり…
京介に似ている

お兄さんと社長さんのようにうりふたつなわけじゃないけど、顔の一つ一つのパーツが京介にそっくり


うちのママなんかに比べると清楚で、気品があった






「こんにちは」


お母さんに挨拶をする




「あなたは?」



聞かれて、気付いた


どうしよう
名乗ってもいいものだろうか…





< 272 / 362 >

この作品をシェア

pagetop