たった一人の君へ〜二人の運命〜
「高山加奈さんだよ」


言ったのはお兄さんだった




「高山…加奈」


名前を聞いた途端に、お母さんの顔色が変わっいくのが分かった






この人は知ってるんだ
あたしが愛人の子供であることを

直感で感じた





「はじめまして」


声が上ずる





「あなた…何でここに?」

お母さんの目は焦点があっていない



「京介の見舞いにきてくれたんだよ」



お兄さんはあっさり言う





「あなた京介と別れたんじゃなかったの?」


怖い
目が怖い



「別れました」



「なら、どうしているの?
あなたの顔なんか見たくもないのよっ!
汚い女の血が流れる子供のくせに!」



ドクンっ






やっぱり
知ってるんだ







怖い
初めて向けられる憎しみの目





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