たった一人の君へ〜二人の運命〜
「すみません…泣いてしまって…」




「ううん
それだけ君も京介を思っていてくれたんでしょ?」





ゆっくり頷いた







「あたしも…
京介と…別れたくなかった…

でも真実を知った時…
一緒にはいられないと思ったんです…」






自分だけが傷ついたと思って
別れを選んだ

あたしはいつだって自分のことばかり

京介を傷付けたくないなんて言って
結局は、自分自身の血を憎んで、自分がこれ以上傷つきたくなくて、
そして別れを告げた






「京介は薄々分かっていたみたいだよ
君が真実を知って別れを選んだんだって

だから君が離れていくのを止めなかった

選んだ道に従うしかなかったんだ」







あんなにあっさり別れを認めてくれたのは、それでだ…


真実を知って傷付いた京介をあたしは更に傷付けたんだ







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