たった一人の君へ〜二人の運命〜
明日社長さんが来るんだ

社長さんには会いたくない


「じゃあやっぱりあたしは…」

「ううん
加奈ちゃんはもう一度会ってやってほしい
わがまま言えばどんな奴より京介の傍にいてやってほしいんだ…」

諦めようとしたあたしの言葉を遮るようにお兄さんが言った







そりゃあたしだって誰よりも京介の傍にいたいけど…
お母さんにだって会いづらいのに、更に社長さんまでとなると、やはり帰るしかないような…





「そうだな、じゃあこうしよう
面会は3時からだから、その時間には親父と母さんをさりげなく違う場所にやるから、その間に加奈ちゃんが来てくれないか?」






「いいんですか?」




「いいも何も、こっちがお願いするよ」



「それなら…
わかりました…」





あたしも会いたい気持ちに変わりはない






「ちょっと待ってて…」


お兄さんは席を立った

少し離れた場所でどこかに電話をしていた





「ふぅ」

大きくため息をついた

いろんな真実と現実に
押し潰されそうだ





< 295 / 362 >

この作品をシェア

pagetop