たった一人の君へ〜二人の運命〜
ピッ…ピッ…

目を開けたと同時に心電図のアラームが消え、心音がまた元に戻った





「京介?」




苦しそうな表情は変わらない
うつろな目で天井をキョロキョロ見ている

大きな二重の目がゆっくり開いたり閉じたり
そしてその瞳はようやくあたしを捉えた





「加奈…」


そう言った瞬間握っていた手にギュッと京介の力が返ってきた

弱い力だったけど確かに握り返してくれている





「京介…」


ボロボロと涙が落ちた








「加奈…泣いてるの?」


点滴のついた手で涙を拭ってくれる




「京介ぇ…」




「泣かない…で…加奈」







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