たった一人の君へ〜二人の運命〜
社長さんと那奈は黙ってあたしを見ている



「あたし…大学を辞めて東京に行きたいの」




「はぁっ?」



ママは明らかにうっとおしそうな声をあげた






「東京に出て、看護師を目指そうと思う」






何にも夢なんてなくて、なんとなく手に職をと考えていたあたし




でも京介の入院している病院で見た看護師の姿





すごく輝いて見えた





初めて、こんな風になれたらと思えた





「あんたさぁ、本当ロクでもないことしか言わないよね」




ママは冷たくそう言った





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