たった一人の君へ〜二人の運命〜
ママは驚いたようにあたしを見た




久しぶりにママと目が合う





「な…何よ

急に…気持ち悪い子」




ママはまた目を反らして、タバコを灰皿にぎゅっと押し付けた




そしてあたしの目を見てこう言った


「誰があんたのこと見てないって言ったのよ

ママは見てるわよ、あんたのこと


あんたは…ママの子供なんだから」






ママの…子供…

あたしは…まだママの子供なの?


涙がポタポタと溢れた




「あぁっ!もうっ。何泣いてんのよっ

ほらっ」





ママは側にあったタオルをぶっきらぼうに渡してくれた




「あんたとは、どう向き合ったらいいか分からなくて、ずっと辛く当たってきたけど…


本気で産まなきゃよかったなんて思ったことなんかないんだから…」






ママはあの時の言葉を覚えていたんだ







ママ…
あたしもね、産んで欲しくなかったわけない




本当はずっとママとこうして向き合いたかった…






強がっても、胸の中では、ママに愛されたかった…






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