たった一人の君へ〜二人の運命〜
「京介が事故にあった日のことを君に伝えておきたくて」



社長さんは少しすまなさそうな顔で話し始めた




「あの日、あの事故の日、京介は私との離婚が決まったと妻から聞いたみたいでね

私のところまで来ようとしていたんだ

事故の前に京介から私の携帯に連絡があって…

話しておきたいことがある
そう言っていたんだよ」




あの日京介は社長さんに会いに行っていたんだ…



「たまたま東京に仕事で来ていてね、すぐに海外に立たなければいけなかったんだが、
京介があまりに真剣で…

僅かな時間でよければ会えると言ったんだ

だからスピードを…」





急いでいて事故を…
京介とスピードオーバー

やっと結びついた




「結局京介は約束の時間に現れなくて、私は海外に飛んでしまった

連絡をもらったのは向こうに着いてからで、あんなにも面会に行くのが遅れてしまった」





そう…だったんだ…







「君たちのことは妻から聞いたよ

そして京介が私に何を話したかったかも」






「何だったんですか?
京介の話って…」



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