たった一人の君へ〜二人の運命〜
「君のことだよ」




えっ?



あたしのこと?






「妻から聞いた話なんだが
京介は妻にあの日こう言っていたらしい




『親父と赤の他人になる前に、一つだけ親父に約束してほしいことがあるんだ
だから会いに行ってきてもいいかな?母さん





親父に加奈のこと話したい
母さんと別れて親父は加奈の母親と暮らすんだろ?

なら、加奈のことをちゃんと見てあげてほしい
守ってあげてほしい

それを約束してほしいって言いに行きたいんだ』




妻はそんなこと言うなって止めたみたいだけどね…
京介は聞かなかったんだよ




あれだけ私を嫌っていた京介が、君のために私に会いたいと言ったんだよ」







あたしのために…






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