たった一人の君へ〜二人の運命〜

京介という男

丸まったまま眠ってしまったあたしは、その日とても安らかな夢を見た



夢の中でも、あたしはベッドの中にいる



違うのは隣に誰かが寝ているということ



その人は背中をこちらに向けて寝ている



あたしと同じように丸まっているように見えた



その背中を見て、夢の中のあたしは思う



とても愛しい…と



その背中を抱きしめる



体温の高い温かい、その体は甘い香りがして、何故かとても安らかな気持ちだった



この人は誰?



誰かの声がする



「加奈、無理しないで。全て受け止めてあげるから」



ゆっくりこちらを向く温かい体



あなたは一体誰なの?



必死で知りたいと思うのに、分からない



あなたをあたしは待って…いる?


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