たった一人の君へ〜二人の運命〜
「あの時見た高山さんはいつも見る強気な顔じゃなくて…とても悲しい顔してた」




悲しい顔か…



あの時、捨てられていた子猫と自分が被ったんだ
「あんたも捨てられたの?」
子猫を見てると、悲しくて、泣いてしまいそうだった



親に捨てられた子猫とあたし
可哀想だった



でもそんなとこ見られてたなんて恥ずい




「悲しい顔なんかしてたかな?」

おどけてみせた
あたしの闇には触れてほしくない




「泣きそうな顔してたよ?」



「えっ?」



じっと見つめ合う目と目
真剣な眼差しから目が離せない




「あの日から意識して高山さんを見るようになった
それで気付いたんだ



どうしてわざとトゲトゲしてみせるの?


どうして悲しい顔を隠しているの?」




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