たった一人の君へ〜二人の運命〜

夜逃げ

パパが自己破産宣告をした日から、数日





落ちた闇が本物であることを証明するように、借金取りが家に来るようになった



破産手続きをされる前に、取れるだけ取ろうという理由なんだと、ママが言った



「高山さーん、いるの分かってるんですよー！」




ドンドンと戸を叩く借金取り

チンピラみたいなおじさんたちが玄関に何人かいる




外にも迂濶に出れなくなり、学校にも行けない

そんな日が続いた




怖い
怖いよ…助けて




一人自分の部屋で布団にくるまって耳を塞いだ





パパは、あの日勝手に話しをして、そのままどこかに雲隠れしてしまった
携帯も繋がらない




家に残されたママと那奈、あたしが借金取りの犠牲になった




どうなるの？
このまま風俗に売られたりするのかな…
そんなの嫌だよ



どうしてもっと早く破産宣告しなかったんだろう




怖いよ、怖い