たった一人の君へ〜二人の運命〜
「ごめん…なんかパニクってる」



携帯を持つ手が汗ばんでいるのがわかる



「あたしもわけわかんないよ…」



美幸も相当動揺しているようだった



「京…介は?…無事なの?」



思考回路が少しずつ戻ってくる



「よく解らないけど…京介くんのお母さんが言うには…危ない状態みたい」


危ない状態…





嘘だよ
そんなの嘘



「嘘でしょ…嘘って言ってよ」


人前で泣けないあたし
こんな時でも、泣けない自分が嫌になる



京介…なんで…


なんで、なんで…


「加奈ぁ…」


美幸は電話の向こうで泣いている


美幸…泣かないで…
嘘だって言ってよ…


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