たった一人の君へ〜二人の運命〜
数日後




いよいよ食料も、つきてきて、精神状態もやばくなってきた頃





朝、目を覚ますと、今までとは違う静けさが戻っていた



ん?
目をこする
夢ではないみたい




電話の音も、借金取りの怒号も聞こえない

窓から、玄関の方を見る

借金取りがいない

チンピラのような男たちがいなくなっている




なんで?
あっそっか、パパが破産手続きをしたんだ

きっとそう
これで平和な毎日に戻る





久しぶりにカーテンを開け、日の光を浴びる

薄暗い生活からもようやく解放されたんだ





下に下りて行くと、ママと那奈の笑い声が聞こえてきた



いつもならうっとおしい二人の笑い声でさえ、今日は安らかな気持ちになる





夜逃げしなくてすんだんだ
あぁよかった
あたしの人生いよいよ終わったと思ったよ

学校にも行けるじゃん


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