たった一人の君へ〜二人の運命〜
一人だけ雲隠れしたパパも憎い



それよりも、こんなことするママが憎い



笑ってる那奈も、社長さんも憎い



全てが憎いよ






涙が自然に溢れてきた
でも泣いたら終わりだ



耐えなきゃ
泣いちゃダメ






「加奈、何泣きそうな顔してるの?
あんたはママが引き取ってあげるから安心しなさいよ
ったく、感謝してよね」


タバコに火をつけ、薄笑いするママ




何が安心よ
何が感謝よ

安心だって感謝だってできるわけないじゃん





もういい
もういいよ
家族って何なんだよっ






溢れる涙を手で拭って部屋に戻って泣いた



もう何も考えたくないよ
あたし生きていたくない



どれだけ我慢を重ねれば、この闇から解放されるの?


神様、あたし生まれ変わったら、もっと温かいぬくもりのある両親の元にいきたいな

それって贅沢な望みかな?




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