いつもの景色
序章
「眩しい・・・」

僕に光が戻る日なんて考えもしなかった。

戻らなくてもいいと思っていた。

僕の見たい景色はもう見れない。

自分の意思とは裏腹に目が慣れてくる。

「孝君、大丈夫?」

聞き覚えのある声が、心配そうな響きで耳に入ってきた。彼女の名前は立花 静香。顔はわからない。目が見えなくなってから知り合ったので、声と雰囲気で想像はしてた。

「うん。痛みはないし久々に光が入ってきたから眩しかっただけ」

僕は愛想のない答え方をした。いつもの事だ。

そこに先生が入ってきた。
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