逆走マジック
*

「うへー予想以上に暑いね」

「だから嫌だって行ったのに」


さっきから何度も同じ会話を繰り返している。

暑さで頭がボケ始めているのかどうかさえもわからない。

「俺実は保健室の一窓あいてるの知ってるよー。今日先生が閉め忘れてた」

「さすが梓之だ」

「ありがと葵」


開いている保健室の窓に手をかけようとしたとき……

「まて、みんな」

手を前に差し出し、全員の動きを止める。

「なぁに?葵。急にそんな焦って」

ごくりと息を飲む佐月。

わくわくしている夏子。

ぼけっとしている梓之。

「窓と教室のドアが開いてる」

「え?それ誰か入ったってことじゃん」

「おそらくな」


一気に全員青ざめる。
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