天然な女の仔×クールで無口な男の仔の物語 〜前編〜
「来たみたいね。」
と雅さんが言った。
――――ガチャ
「遅くなりました。」
男は一礼した。
「真田(さなだ)さんはすぐに出られるように運転席に。」
「わかりました。」
真田さんと呼ばれる男の人は、また一礼して運転席に座った。
「みんな車に乗りましょう。」
俺たちは車に乗った。
「雅様。どちらに行きますか?」
「じゃあここから近い学園へお願いするわ。少し早めにお願い。見ての通り怪我人がいるから。」
「わかりました。…あの雅様、密歌様たちは…」
「大丈夫よ。命には別状ないわ。」
「そうでしたか。よかったです。すぐに学園までお連れ致します。」
真田さんはそう言って車を発進させた。