天然な女の仔×クールで無口な男の仔の物語 〜前編〜

「雅さん、病院に行かなくていいんですか?」

「ほんとは念のために行ったほうがいいんだけど、私たちパパとママ過保護でしょ?運ばれたと知ったら仕事を放ってすっ飛んで来るわ。一応秋野財閥の会長だから病院に行ったとなるとマスコミとかいろいろ大変でしょ?病院にも迷惑かけちゃうしね。それに学園に行ってないと生徒たちが騒ぐでしょ?だからちゃんと行かないとね。でも、何かがあっては遅いからちゃんと稜亮さん呼んでるから大丈夫よ。」

雅さんはスラスラと答えた。

相変わらずスゲー

あの時、これだけのことを考えてたのか?

「いつの間に稜亮さん呼んだんですか?」

俺は一番気になってたことを聞いた。

「車を待っているときに電話をしたのよ。多分そろそろ学園に着く頃だと思うわ。あと、胡桃先生と理事長にも電話しといたの。簡単な事情だけ話して。」

ほんとすごい。

あんな短時間でやるとは…

「そうなんですか。」

「雅様そろそろ学園に着きます。」

「そのまま高等部玄関までお願い。」

「わかりました。」

「雅、今はまだ通学時間だ。密歌たちを運んでるときに生徒たちに見られたりしたらどうするんだ?」

真さんが言った。

あ、それ俺も思った。

まだ通学時間。

この時間に通学してくるやつはいる。

みつかったりしたら大事だ。

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