天然な女の仔×クールで無口な男の仔の物語 〜前編〜
「心配かけたな。」
「もうほんとにな!!」
「密歌は…?」
愛梨が暗い顔をしながら聞いてきた。
「気を失っている。今、有紗さんたちが手当してくれている。」
「そっか…。無事でよかった…」
愛梨は、ホッとした顔をした。
「湊。もしかして母さんと父さん来てるのか?」
「ん?そうだけど。一応ここの非常勤講師だしな。」
「マジかよ……」
龍夜は血の気が引いたような顔をした。
稜亮さんと有紗さんはこの天の宮学園の非常勤講師として来てもらうときがある。
大学部の医学部で講師をしている。
月に3回だけだけど。
病院のほうもあるしな。
あ、ちなみに有紗さんは医学部の講師もしているが美容学部と芸能部の講師もしてもらっている。
「マジだけど。」
「じゃ、じゃあお、俺せ、生徒会室で資料整理してくるな!」
龍夜はそういいながら一歩一歩後ずさりしていく。
――――シャッ
カーテンが開いた。
「あら、龍ちゃんじゃない♪」
有紗さんがカーテンから出てきた。
「ゲッ…じゃあ湊またあとで!!」
「あ、おい龍夜!!」
龍夜はドアのほうまでダッシュした。