天然な女の仔×クールで無口な男の仔の物語 〜前編〜
え?
今の空耳?
なんでも突っ走る龍夜が逃げるって言うなんて…
「龍夜にしては珍しいじゃないの?(ボソッ)」
「うるせーな(お前を危ない目に合わせられるか…)(ボソッ)」
「でも、どうやって逃げんの?(ボソッ)」
公園の入り口はあいつらで塞がれてるし…
「ここのことはあいつらより俺らの方がよく知ってるだろ?(ボソッ)」
「そうだけど…(ボソッ)」
ここは私たちと密歌たちが初めて逢った場所でもある。
だから、ここのことは昔からよく知っている。
「じゃあ、決まりな!俺が囮になるから先に行ってろ!(ボソッ)」
囮…?
「ちょ、ちょっと龍夜!囮ってどういう意味よ!!(ボソッ)」
私は声を小さめに怒った。
なんで、龍夜が囮になるのよ!!
そんなの……やだよ…
「そのままの意味だ。すぐ追いつくから愛梨は先に学校戻ってろ。な?(ボソッ)」
なんで今だけ真剣な顔してんのよ…
いつもふざけてるだけなのに…
なんでこんな時だけ真剣な顔するのよ…
龍夜…